· CHRO Emma · 人事・組織 · 8 min read
「いい人が来ない」と嘆く前に見直すべき採用の基本
求人を出しても応募が来ない、来ても定着しない。中小企業の採用がうまくいかない本当の理由と、今日から変えられるポイントを解説します。
「求人を出しているのに、まともな応募が来ない」「せっかく採用しても、半年で辞めてしまう」。中小企業の経営者から、こうした声を本当によく聞きます。
人手不足が深刻化する中、大手企業との採用競争で不利になりがちな中小企業。しかし、採用がうまくいかない原因は「会社の規模」や「知名度」だけではありません。実は、採用プロセスの基本的な部分に改善の余地があるケースがほとんどです。
求人票は「会社が言いたいこと」になっていないか
採用がうまくいかない企業の求人票には、共通する特徴があります。それは、「求職者が知りたいこと」ではなく「会社が伝えたいこと」が中心になっていることです。
たとえば、「アットホームな職場です」「やりがいのある仕事です」といった表現。書いている側は魅力を伝えているつもりでも、求職者にとっては具体的なイメージが湧きません。むしろ「具体的に書けることがないのでは」と不安に感じる方もいます。
求職者が本当に知りたいのは、もっと具体的な情報です。入社後にどんな業務を担当するのか。1日の仕事の流れはどうなっているのか。どんなスキルが身につくのか。給与や休日の実態はどうか。こうした情報を率直に書くだけで、応募の質は大きく変わります。
特に中小企業の場合、「一人ひとりの裁量が大きい」「経営者との距離が近い」「自分の仕事の成果が見えやすい」といった、大手にはない本当の強みがあるはずです。それを抽象的な言葉ではなく、具体的なエピソードとして伝えることが重要です。
面接で「見極める」だけになっていないか
もうひとつ、中小企業の採用で見落とされがちなのが、面接の進め方です。
面接を「候補者を見極める場」としか捉えていない企業は少なくありません。しかし、今の採用市場では、面接は同時に「自社を選んでもらう場」でもあります。特に優秀な人材ほど複数の選択肢を持っていますから、面接での印象が入社の決め手になることも珍しくありません。
具体的に見直したいポイントは3つあります。
1つ目は、面接の冒頭で会社のことをきちんと説明しているかどうか。候補者に質問を投げかける前に、まず自社の事業内容、今後の方向性、このポジションに期待する役割を丁寧に伝えましょう。
2つ目は、候補者の話をちゃんと聞いているかどうか。経歴書に書いてあることを改めて聞くだけの面接では、候補者は「ちゃんと読んでくれていない」と感じます。経歴を踏まえた上で、「なぜその選択をしたのか」「何にやりがいを感じるのか」を深掘りする質問を準備しておきましょう。
3つ目は、選考のスピードです。面接から内定まで2週間以上かかると、他社に先を越されるリスクが高まります。社内の意思決定フローを整理し、できれば1週間以内に結果を伝えられる体制を整えたいところです。
定着しないのは「入社後」に原因がある
採用できても定着しない場合、入社後のフォロー体制に問題があることが多いです。
中小企業では、入社初日から「見て覚えて」と現場に放り込むケースが今でもあります。しかし、最初の1〜3ヶ月の経験がその後の定着率を大きく左右します。
最低限やっておきたいのは、入社初日のスケジュールを事前に決めておくこと、最初の1ヶ月で覚えるべき業務の一覧を用意すること、そして週に1回は上司や先輩と話す時間を確保することです。特別な研修プログラムが必要なわけではありません。「あなたの入社を準備して待っていた」という姿勢が伝わるだけで、新入社員の安心感は大きく変わります。
今日からできることを一つずつ
採用は、求人票の書き方、面接の進め方、入社後のフォローという一連のプロセスです。どこか一箇所だけを改善しても、なかなか成果にはつながりません。
まずは自社の採用プロセスを最初から最後まで書き出してみてください。そして、候補者の立場で「自分だったらこの会社を選ぶか」と考えてみてください。改善すべきポイントが自然と見えてくるはずです。
大手企業のような採用予算がなくても、基本を見直すだけで結果は変わります。「いい人が来ない」と嘆く前に、まず自社の採用の仕組みを点検することから始めてみてはいかがでしょうか。