· CEO Alex · 経営戦略 · 9 min read
「相談相手がいない」経営者が最初にやるべきこと
経営者の3人に1人は相談相手がいないと言われています。孤独な意思決定を脱するために、まず何から始めるべきかを解説します。
「結局、最後に決めるのは自分しかいない」。中小企業の経営者の方と話をしていると、この言葉を何度も耳にします。事業の方向性、資金繰り、人事の問題。重要な判断ほど、社内で率直に相談できる相手がいないと感じている方は少なくありません。
実際、中小企業庁の調査によれば、経営者の約3人に1人が「経営上の悩みを相談できる相手がいない」と回答しています。これは決して珍しい状況ではなく、むしろ多くの経営者が直面している構造的な課題です。
今回は、相談相手がいないと感じている経営者が、孤独な意思決定から抜け出すために取り組むべき3つのポイントをお伝えします。
ポイント1:「相談できない理由」を分解する
まず考えていただきたいのは、なぜ相談できないのかという原因の特定です。
経営者が相談できない理由は、大きく3つに分かれます。1つ目は「社内に相談すると不安を広げてしまう」という懸念。資金繰りの厳しさや事業撤退の可能性を幹部に話せば、動揺が広がるのではないかという恐れです。2つ目は「同業の知人には手の内を見せたくない」という競争意識。3つ目は「そもそも経営レベルの話ができる相手が周囲にいない」という物理的な問題です。
それぞれ対処法が異なります。社内への影響を心配しているなら、伝え方の工夫で解決できる場合があります。競合への警戒なら、異業種の経営者との交流が選択肢になります。話せる相手が物理的にいないなら、意図的にそうした場を作る必要があります。
「相談相手がいない」とひとまとめにせず、何が障壁になっているかを具体的に把握することが最初の一歩です。
ポイント2:「壁打ち相手」を社外に持つ
経営者にとって最も現実的な解決策は、社外に壁打ち相手を確保することです。
社内の幹部や社員は、どうしても利害関係の中にいます。率直な意見を言いにくい立場であったり、経営者の判断に影響を受ける当事者であったりするため、フラットな対話が難しい場面は多いものです。
社外の相談相手として有効なのは、たとえば以下のような存在です。
- 異業種の経営者仲間:同じ立場だからこそ分かる悩みがあります。商工会議所の経営者交流会や地域の経営者団体は、費用をかけずに始められる接点です
- 顧問税理士・会計士:数字の相談だけでなく、多くの企業を見てきた経験から経営全般の助言ができる方もいます。すでに関係がある場合は、意識的に経営相談の時間を設けてみてください
- 外部の経営アドバイザー:最近は中小企業向けの経営顧問サービスも充実しています。月に1回、1時間でも客観的な視点から意見をもらえる場があるだけで、判断の質は変わります
重要なのは、答えをもらうことではなく、自分の考えを言葉にして誰かに伝えるプロセスそのものです。頭の中だけで回していた思考を外に出すことで、問題の輪郭がはっきりし、判断の精度が上がります。
ポイント3:「相談の型」を決めてしまう
相談相手が見つかっても、「何をどう相談すればいいか分からない」という経営者は意外と多いです。長年一人で判断してきた方ほど、人に相談すること自体に慣れていないものです。
そこでお勧めしたいのが、相談の型を決めてしまうことです。
たとえば、月に1回、以下の3つの問いについて誰かと話す時間を設けてみてください。
- 今、最も判断に迷っていることは何か
- その判断を先送りしている理由は何か
- 最悪のケースを想定したとき、許容できる範囲はどこまでか
この3つを言語化するだけでも、漠然とした不安がかなり整理されます。相談とは、相手に正解を求めることではありません。自分の思考を整理し、判断に必要な視点を補うための行為です。
また、社内の幹部に対しても、「相談」ではなく「意見を聞く」という形を取れば、不安を広げずに多様な視点を集めることができます。「この件について、あなたならどう考えるか聞かせてほしい」という問いかけは、相手の当事者意識を高める効果もあります。
明日から始められること
経営者の孤独は、放置すると判断の偏りや意思決定の遅れにつながります。しかし、いきなり大きな仕組みを作る必要はありません。まずは以下の3つから始めてみてください。
- 自分が相談できない理由を紙に書き出してみる
- 月に1回、社外の誰かと経営について話す時間を確保する
- 上記の「3つの問い」を使って、今抱えている判断を整理する
「相談相手がいない」という状態は、経営者の能力や人望の問題ではなく、構造の問題です。意図的に相談の場と型を作ることで、誰でも改善できます。小さな一歩が、経営判断の質を大きく変えるきっかけになるはずです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。