· CFO Sarah · 財務 · 7 min read
資金繰りに追われる経営者がまず見直すべき3つの数字
キャッシュフローの不安は、多くの中小企業が抱える共通の悩みです。まず確認すべき3つの数字と、改善に向けた第一歩を解説します。
「月末になると、口座残高が気になって眠れない」
そんな声を、中小企業の経営者からよく聞きます。売上は立っているのに、手元の現金がいつも足りない。請求書の支払い期日が迫るたびに胃が痛くなる。資金繰りの不安は、経営者にとって最も身近で、最もストレスの大きい問題のひとつです。
しかし、この問題は「がんばって売上を増やす」だけでは解決しません。大切なのは、自社のお金の流れを正確に把握することです。今回は、資金繰りの改善に向けてまず確認すべき3つの数字をお伝えします。
確認すべき3つの数字
1. 売掛金の回収サイト(平均何日で入金されるか)
売上が計上されてから、実際にお金が入金されるまでの日数を把握していますか。請求書を出してから30日後なのか、60日後なのか。この「回収サイト」が長ければ長いほど、手元資金は薄くなります。
まずは直近6か月分の売掛金について、請求日と入金日を一覧にしてみてください。取引先ごとに平均日数を出すと、どこに改善の余地があるかが見えてきます。回収サイトが60日を超えている取引先がある場合は、支払い条件の見直し交渉を検討する価値があります。
2. 買掛金の支払いサイト(平均何日で支払っているか)
次に確認するのは、自社が仕入先や外注先にお金を払うまでの日数です。
理想的なのは「入金が先、支払いが後」という流れです。しかし実際には、仕入代金を先に払い、売上の入金は後になるケースが多いのではないでしょうか。回収サイトと支払いサイトの差が、そのまま資金繰りの「きつさ」に直結します。
たとえば、回収サイトが60日で支払いサイトが30日なら、常に30日分の運転資金を自力で確保しなければなりません。この差を縮めるだけで、資金繰りは大きく改善します。
3. 月次の固定費総額(毎月必ず出ていく金額)
家賃、人件費、保険料、リース料、通信費、顧問料。毎月必ず発生する固定費の合計を、正確に把握できていますか。
「だいたい月300万円くらい」ではなく、1円単位で把握することが重要です。固定費の総額がわかれば、「最低限、毎月いくらの入金があれば会社が回るのか」という生存ラインが明確になります。
この数字を知っているだけで、経営判断のスピードが変わります。新規投資の可否、人員採用のタイミング、値引き交渉への対応。すべての判断に「月の固定費」という基準が使えるようになるからです。
数字を「見える化」したら、次にやること
3つの数字が把握できたら、次のステップは「資金繰り表」の作成です。難しく考える必要はありません。Excelやスプレッドシートで、向こう3か月分の入金予定と出金予定を並べるだけで十分です。
ポイントは、毎週更新すること。月1回の確認では、気づいたときには手遅れになりかねません。週次で見直す習慣をつければ、「来月の第2週に資金が不足しそうだ」といった予兆を早期に察知できます。
また、資金ショートの兆候が見えた場合の対応策も、あらかじめ決めておきましょう。金融機関への相談、支払い条件の交渉、不要資産の売却など。追い詰められてからでは選択肢が限られます。余裕のあるうちに準備しておくことが大切です。
まとめ
資金繰りの不安を解消する第一歩は、「なんとなく不安」を「具体的な数字」に変えることです。
- 売掛金の回収サイト
- 買掛金の支払いサイト
- 月次の固定費総額
この3つを正確に把握するだけで、漠然とした不安がかなり和らぎます。問題の正体がわかれば、打てる手も見えてきます。
完璧な財務体制を一気に構築する必要はありません。まずは今週中に、この3つの数字を確認するところから始めてみてください。