· CRO James · 営業  · 8 min read

営業が属人化している会社が最初に取り組むべきこと

エース営業マンが辞めたら売上が激減する。そんなリスクを抱える中小企業が、営業の仕組み化に向けて最初にやるべきことを解説します。

エース営業マンが辞めたら売上が激減する。そんなリスクを抱える中小企業が、営業の仕組み化に向けて最初にやるべきことを解説します。

「うちの営業、あの人がいなくなったら終わるな」

経営者なら一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。トップ営業が1人で売上の大半を稼いでいる。その人の人脈、トーク力、経験値に会社の業績が依存している。こうした状態を「営業の属人化」と呼びます。

中小企業では珍しくない光景ですが、これは経営上の大きなリスクです。退職、体調不良、異動。きっかけは何であれ、キーパーソンが抜けた瞬間に売上が急落する。しかも、その人のやり方が社内に残っていないから、穴を埋めることもできない。

では、この状態から抜け出すために、最初に何をすべきか。今日はその第一歩について、具体的にお話しします。

まず「売れている理由」を言語化する

仕組み化の第一歩は、トップ営業が「なぜ売れているのか」を分解することです。

本人に聞いても「いや、普通にやってるだけですよ」と返ってくることが多い。実際、優秀な営業ほど自分のやり方を意識していません。だからこそ、第三者の視点で観察し、言語化する作業が必要です。

具体的には、以下の3つを整理してみてください。

  • 商談の流れ: 初回接触からクロージングまで、どんなステップを踏んでいるか
  • 使っている資料・トーク: 提案書の構成、よく使うフレーズ、顧客への質問の仕方
  • 顧客との関係構築: 訪問頻度、フォローのタイミング、紹介が生まれる仕掛け

これをやるだけで、「なんとなく売れている」が「こういう理由で売れている」に変わります。全部を完璧に文書化する必要はありません。まずはA4用紙1枚でいいので、箇条書きで書き出してみてください。

「誰でも60点が取れる型」をつくる

言語化ができたら、次はそれを「型」に落とし込みます。

ここで大事なのは、トップ営業の100点を再現しようとしないことです。目指すのは「誰がやっても60点は取れる営業プロセス」。100点は属人的なスキルの世界ですが、60点は仕組みでカバーできます。

たとえば、こんな型が考えられます。

  • 初回面談では必ずヒアリングシートを使い、顧客の課題を5項目確認する
  • 提案書はテンプレートを用意し、顧客ごとにカスタマイズする箇所を3か所に限定する
  • 商談後24時間以内にお礼メールを送り、次回アクションを明記する

こうした型があるだけで、新人でも中途入社でも、一定の品質で営業活動ができるようになります。トップ営業の「感覚」に頼らず、プロセスで成果を出せる状態をつくることが、仕組み化の本質です。

記録と振り返りの習慣をセットにする

型をつくっただけでは、仕組み化は定着しません。もう一つ欠かせないのが「記録」です。

といっても、高額なSFAツールを導入する必要はありません。最初はスプレッドシートで十分です。記録する項目もシンプルでいい。

  • 商談日・顧客名・商談内容の要点(3行以内)
  • 次のアクションと期限
  • 商談の手応え(○△×の3段階)

これを週1回、15分だけ振り返る時間をつくる。「先週の商談で○が多かったのはなぜか」「×だった商談に共通点はないか」。こうした振り返りを積み重ねることで、型が改善され、チーム全体の営業力が底上げされていきます。

記録がない組織は、同じ失敗を繰り返します。逆に、記録がある組織は、失敗からも学べる。この差は、半年、1年と経つほど大きくなります。

仕組み化は「エースを否定する」ことではない

最後にお伝えしたいのは、営業の仕組み化はトップ営業を否定する取り組みではない、ということです。

むしろ逆です。エース営業の知見を会社の資産に変え、チーム全体で活かす。エース本人も、自分しかできない仕事から解放されて、より高度な案件や新規開拓に集中できるようになる。結果として、会社全体の売上が安定し、成長の土台ができる。

「うちは少人数だから」「まだそこまでの規模じゃないから」。そう思う方もいるかもしれません。でも、少人数だからこそ1人の影響が大きい。だからこそ、早い段階で仕組み化に着手する意味があるのです。

まずは今週、トップ営業の「売れている理由」をA4用紙1枚に書き出すところから始めてみてください。それが、営業を会社の力に変える第一歩になります。

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