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ShazeerはOpenAIへ、JumperはAnthropicへ——DeepMind人材流出が示すAI人材獲得戦争の新局面

Transformer論文共著者のNoam Shazeer氏がOpenAIへ、ノーベル化学賞受賞者のJohn Jumper氏がAnthropicへ——Google DeepMindからトップ研究者の連続移籍が報じられました。27億ドルでも引き留められない人材流出から、中小企業にも通じる人材定着の本質を人事の視点で考えます。

Transformer論文共著者のNoam Shazeer氏がOpenAIへ、ノーベル化学賞受賞者のJohn Jumper氏がAnthropicへ——Google DeepMindからトップ研究者の連続移籍が報じられました。27億ドルでも引き留められない人材流出から、中小企業にも通じる人材定着の本質を人事の視点で考えます。

※ 本記事は2026年6月時点の公開情報に基づきます。最新情報は各社公式発表等をご参照ください。

2026年6月18日、Google DeepMindの中核研究者Noam Shazeer氏がOpenAIに移籍すると報じられました(出典: TechCrunch)。同氏は2017年の論文「Attention Is All You Need」の共著者の一人で、現在の生成AIの土台となる「Transformer」という仕組みを形作った人物です。

Shazeer氏はGoogle DeepMindでAIモデル「Gemini」開発の共同リードを務めていました(出典: CNBC)。Googleは2024年、同氏が創業したCharacter.AIとの約27億ドルのライセンス契約で同氏を呼び戻したばかりで、復帰から2年足らずでの再流出となります。

さらに翌6月19日には、タンパク質の構造を予測するAI「AlphaFold」の開発で2024年のノーベル化学賞を共同受賞したJohn Jumper氏が、約9年在籍したGoogle DeepMindを離れてAnthropicに移籍することが明らかになりました(出典: The Next Web)。2日連続でのトップ研究者の流出です。

27億ドルで呼び戻した人材が、2年足らずで去る

今回の出来事が人事の視点で重いのは、報酬の絶対額では人材を引き留めきれないという現実が、これ以上ない規模で示されたことです。約27億ドルという契約は、事実上Shazeer氏とそのチームを迎え入れるための巨額投資と受け止められてきました。それでも2年足らずで競合へ移る。お金は人を連れて来られても、留め続ける力にはならないのです。

一方のJumper氏は、移籍にあたって「博士号取得から6ヶ月でAlphaFoldチームを任せてくれた」とDeepMindのDemis Hassabis氏への感謝を公に述べています。大胆な抜擢が世界的な成果と人材を育てた好例ですが、その人材でさえ次の挑戦の場を外に求める——リテンション(人材定着)とは「辞めさせない仕組み」ではなく、「この会社にいる理由」を更新し続ける営みなのだと痛感させられます。

上場をにらむOpenAIと「上場前の株式」という引力

もう一つ注目したいのは、受け入れる側のOpenAIの動きです。TechCrunchは今回の採用を、同社の株式上場(IPO)をにらんだ体制強化の文脈で報じています。Shazeer氏に加え、昨年ホワイトハウスで米国のAI政策文書の公表に携わったDean Ball氏を、新設の「Strategic Futures」チームのリーダーとして迎えることも明らかになりました。

上場前の企業が提供する株式報酬は、上場後の値上がり期待を含む「将来の分け前」です。成熟した大企業の安定した高額報酬に対し、成長企業は将来価値への参加権で対抗する——AI人材の獲得競争は、報酬の「額」の勝負から、報酬の「設計」の勝負へと局面が変わりつつあると私たちは見ています。

中小企業の人材定着に引きつけて考える

1. 引き留めの軸を「お金」以外に持つ 給与で大手と張り合うのは現実的ではありません。任せる仕事の大きさ、裁量の広さ、経営との距離の近さ——中小企業だからこそ出せる「ここにいる理由」を言語化して伝えることが第一歩です。

2. 「戻ってきた人材」の定着は別問題として設計する 出戻り採用は有効ですが、迎え入れて終わりではありません。復帰後に何を任せ、どんな成長の道筋を描くのか。再入社時こそ役割設計を丁寧に行う必要があります。

3. 自社なりの「将来の分け前」を用意する 株式が難しくても、業績連動の賞与、新規事業の責任者への登用、後継への道筋など、会社の成長と本人の実りを連動させる仕組みは中小企業でも作れます。

まとめ

  • Transformer論文共著者のNoam Shazeer氏がGoogle DeepMindからOpenAIへ移籍と報道。翌日にはノーベル化学賞受賞者John Jumper氏のAnthropic移籍も判明
  • Googleは2024年に約27億ドルのCharacter.AIライセンス契約でShazeer氏を呼び戻していたが、復帰から2年足らずで再流出。報酬額だけでは人材は定着しない
  • OpenAIは上場をにらんだ体制強化と報じられ、上場前の株式という「将来の分け前」が人材獲得の新しい引力に
  • 中小企業も「お金以外のいる理由」「出戻り後の役割設計」「成長と実りを連動させる仕組み」の3点で定着を設計する

世界最高峰の研究所でさえ、人材の流出は止められません。だからこそ問われるのは、「この会社で働く理由」を更新し続ける経営の姿勢です。皆さまの会社の中核人材にとっての「いる理由」は、今も新鮮なままでしょうか。一度、本人と話すことから始めてみてください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。

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