· CMO Olivia マーケティング  · 10 min read

GoogleがAI広告の開示表示を7月中に段階展開——同じ週にMetaが撤回した機能と、素材の出所を記録する実務

Googleは広告にAIが使われたかを示す開示表示を2026年7月中に段階展開します。EU・インド・ニューヨーク向けキャンペーンでは、AI作成・編集と指定した素材を含む広告に可視オーバーレイも出ます。同じ週にMetaが公開写真を参照するAI生成機能を3日で撤回した件と並べ、素材の出所をどう記録すべきかを考えます。

Googleは広告にAIが使われたかを示す開示表示を2026年7月中に段階展開します。EU・インド・ニューヨーク向けキャンペーンでは、AI作成・編集と指定した素材を含む広告に可視オーバーレイも出ます。同じ週にMetaが公開写真を参照するAI生成機能を3日で撤回した件と並べ、素材の出所をどう記録すべきかを考えます。

※ 本記事は2026年7月12日時点の公開情報に基づきます。提供状況・仕様は変化するため、最新情報は各社公式発表等をご参照ください。

Googleが、広告にAIが使われたかどうかを利用者が確認できる開示の仕組みを導入します。Google Adsの公式ヘルプによれば、この「AIラベル設定」は2026年7月中に段階的に展開され、Google AdsやDisplay & Video 360、Merchant Centerなどが対象です。広告主が素材を「AIで作成/編集した」と指定すると、その広告の「How this ad was made(この広告はどのように作られたか)」欄に開示が表示されます。利用者はSearch・YouTube・Discoverに出る広告の三点メニューからMy Ad Centerを開いて確認できます(出典: Google Ads ヘルプ)。TechCrunchは2026年7月9日付で、これまでGoogleが開示を求めていたのは選挙広告だけだったと指摘しています(出典: TechCrunch)。

「どう作られたか」が広告の表示項目になる

重要なのは、開示が閲覧者側のパネルに常設の項目として入る点です。加えて同ヘルプによれば、EU・インド・ニューヨークをターゲットとするキャンペーンでは、AI作成・編集と指定された素材を含む広告に、広告そのものへの可視オーバーレイも表示されます。

ラベルの付き方は一通りではありません。同ヘルプによれば、Googleの全自動クリエイティブ生成機能で素材を作った場合のほか、Google自身が法的に義務を負う地域や、他プラットフォームからシグナルを受けた場合も、Google側が代わりにラベルを付けることがあります。これらいずれの場合も、ラベルは上書きできません。これに対し、外部で制作した素材は広告主が新しいコントロールで自己申告します。TechCrunchは、外部で作られた広告についてGoogleが自前の確認を行うわけではないと報じています。外部制作の素材については、AI利用の事実を知っているのは広告主側だけで、申告の正確さは運用の側に委ねられます。

Googleは「Use of the AI label setting in Google’s advertising products doesn’t guarantee your compliance with specific regulations.」とも注記しています。ラベル設定を使っても個別の規制への準拠が保証されるわけではない、という趣旨です(出典: Google Ads ヘルプ)。プラットフォームの機能は法令対応の代わりにならない、という線引きが最初から引かれています。

同じ週、Metaは3日で機能を取り下げた

並べて見ておきたいのが、同じ週のMetaです。Metaは2026年7月7日、画像生成モデル「Muse Image」を発表しました。Instagram StoriesのAIエフェクトやWhatsApp、Meta AIで提供され、広告主向けのMeta Advantage+クリエイティブにも近く展開されるとされています(出典: Meta Newsroom)。

問題になったのは、Instagramの公開アカウントを@メンションして、その写真を参照したAI画像を生成できる機能でした。写真を使われた本人に通知が届く設計ではなく、タレントエージェンシーのCAAをはじめ利用者や業界から懸念の声が上がり、Metaは2026年7月10日にこの機能を取り下げました(出典: TechCrunch)。前掲の公式ブログにも「We’ve heard the feedback that this feature missed the mark, so it’s no longer available.」と追記されています。発表から撤回まで、3日でした。

開示していないAI利用と、同意のない素材

2件は別の出来事ですが、問われているものは同じです。その素材は、どこから来て、誰の許可を得ているか——この一点です。

Googleの開示は「この素材はAIで作ったか」を広告主に答えさせる仕組みであり、Metaの撤回は「この素材は本人の許可を得ているか」に答えられない機能が、技術的に動いても社会的には通らないことを示しました。世界最大級のプラットフォームでさえ3日で引っ込めるほど、この線引きは厳しくなっているとの見方があります。開示は制約ではなく、「うちは説明できます」と言える状態そのものです。

中小企業への翻訳——入稿前に「素材の出所」を1行残す

Google広告を運用している中小企業にとって、これは今月から効いてくる運用変更です。費用はかかりません。必要なのは記録の習慣だけです。

1. 制作フローに「AI生成/AI編集/非AI」の欄を足す 素材を作る時点でこの3択を記録します。スプレッドシート1列で足ります。入稿時に迷わず申告でき、後から問われても答えられます。外注しているなら、納品時にこの申告を出してもらう取り決めを先に交わしておくことです。

2. EU・インド・ニューヨーク向けの配信があるなら、見え方を先に確認する この3地域向けのキャンペーンでAI作成・編集と申告した素材を使う場合、広告面にオーバーレイが乗ります。訴求の文字と重ならないか、配信前に確認しておく価値があります。

3. 人物・他社商品・実店舗を素材にする企画は、撤回の手順まで決めてから出す 本人同意と通知の導線、そして問題が起きたときに誰の判断で止めるかを、公開前に決めておきます。

まとめ

  • Googleは広告のAI利用開示「How this ad was made」を2026年7月中に段階展開。Search・YouTube・Discoverの広告で利用者が確認できる
  • EU・インド・ニューヨーク向けキャンペーンでは、AI作成・編集と指定した素材を含む広告に可視オーバーレイも表示。外部制作の素材は広告主が自己申告する
  • Metaは7月7日発表のMuse Imageのうち、公開Instagram写真を@メンションで参照する機能を7月10日に撤回。本人への通知がない設計が批判を受けた
  • 日本の中小企業がまず着手すべきは、素材ごとに「AI生成/AI編集/非AI」を記録する1列を制作フローに足すこと

7月中に、広告が「どう作られたか」は利用者がその場で開ける項目になります。聞かれてから制作履歴をさかのぼるのでは、入稿にも問い合わせにも間に合いません。素材1点ごとに「AI生成/AI編集/非AI」を1行残す——費用ゼロで今日から始められるこの記録が、申告の正確さを支え、人物や他社の商品を素材にする企画で一度立ち止まる材料にもなります。開示の仕組みが先に整った以上、記録を持っている側が説明できる側になると私たちは考えます。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。

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