· CMO Olivia · マーケティング  · 10 min read

Perplexityが広告モデルを捨てた——AI検索時代のマーケティングと「答えられるブランド」の価値

Perplexityが2026年2月に広告モデルを廃止し、サブスク中心に転換。Samsungの10億台超の端末でブラウザAIとして展開。AI検索が中小企業のマーケティングに何をもたらすか、ブランド戦略の視点から整理します。

Perplexityが2026年2月に広告モデルを廃止し、サブスク中心に転換。Samsungの10億台超の端末でブラウザAIとして展開。AI検索が中小企業のマーケティングに何をもたらすか、ブランド戦略の視点から整理します。

※ 本記事は2026年4月時点の公開情報に基づきます。Perplexity AIおよび関連各社の今後の発表により状況は変化しうるため、最新情報は各社の公式発表をご参照ください。

ググる」が「Perplexityに聞く」「ChatGPTに聞く」に置き換わりつつある——という話は、もはや業界の通説になりました。Perplexity AIは、その変化の中心にいる企業の一つです。

直近のPerplexityの動きは、CMOとして極めて示唆的です。

  • 2026年2月: 広告モデル廃止、サブスク中心の収益モデルに転換(出典: Wikipedia “Perplexity AI”
  • 2026年2月5日: 「Model Council」機能リリース(GPT-5.2、Claude 4.6など複数LLMの回答を同時比較)
  • 2026年初頭: Series E-6で評価額**$21.21B(約3兆円)**
  • Samsung提携: 10億台超のデバイスにプリインストールされたSamsungブラウザでPerplexityがAI機能を提供、MAU 1億超
  • 2026年4月23日: CEO Aravind Srinivas「iPhoneはAIでdisruptedされない、デジタルパスポートになる」と発言(出典: 9to5Mac

「広告を捨てる」決断がブランド戦略に与えた影響

Perplexityが2月に広告モデルを廃止した理由は明確で、「ユーザーが信頼する答えを返すこと」を製品の核に据えるためです。広告連動型の検索結果は、答えの中立性を毀損する——という従来の検索モデルへの強烈なアンチテーゼです。

CMOの立場から、これは2つのことを意味します。

1. 「中立な答え」自体がブランド価値になる 従来のメディア・検索は、広告主の購買意欲をどう刺激するかで設計されてきました。AI検索時代は、答えの正確性・出典の明示・ユーザー信頼そのものが価値になり、それを売れる事業者が生き残ります。

2. お客様の購買体験が「比較表」から「答え」へ移る Webで複数サイトを比較する行為が、AIに「この用途に最適なサービスは何?」と聞いて1〜3個に絞る行為に変わります。比較サイトのSEO上位を取る戦略から、AIに正しく引用される情報を出す戦略へのシフトが必要になります。

「Model Council」が示すマルチモデル時代の購買行動

Perplexityの「Model Council」は、ユーザーがGPT-5.2・Claude 4.6・その他のLLMの回答を並べて比較できる機能です。これはマーケティング視点で見ると、ユーザーが1社の回答を鵜呑みにしない時代が始まったことを意味します。

中小企業のWebサイト・カタログ・FAQが、

  • ChatGPTで聞かれたとき
  • Claudeで聞かれたとき
  • Geminiで聞かれたとき
  • Perplexity経由で聞かれたとき

それぞれ異なるモデルから「同じ正確な情報」が出てくるか——これがブランドの一貫性として重要になります。各AIが参照するデータソースは異なるため、一つのAIで正しく答えられても、他のAIで誤情報が出るということが普通に起こります。

Samsung 10億台への展開——「端末×AI」の主戦場

Samsungのブラウザでデフォルト搭載されたPerplexityがMAU 1億超に達したことは、AI検索の主戦場が「PCのGoogle」から「スマホ・端末・ブラウザ」に移ったことを示します。

これはマーケティング設計に次の変化をもたらします。

  • 検索流入の主戦場が、**Google.com直打ちからモバイルブラウザの「AIサジェスト」**へ
  • ユーザーが最初に触れる情報の出典を選びにくくなる(AIがまとめて答える)
  • 自社サイトの情報構造(見出し・FAQ・出典)が、AIに正しく要約されるかが、流入の量と質を決める

CEO発言の文脈——「iPhoneは disrupted されない」

Aravind Srinivas氏が「iPhoneはAIに置き換えられない、むしろデジタルパスポートになる」と発言したのは、Perplexity自身がOSではなくOSの上に載る情報層を取りに行く戦略であることを示しています。

つまりPerplexityはGoogleやAppleに正面から戦うのではなく、端末・ブラウザの情報層を抑えることで巨大プレイヤーと共存する戦略を取っています。

中小企業のマーケティング担当として読むべきは、**「巨大プラットフォームを倒す」ではなく「巨大プラットフォームの上で目立つ」**という戦略の有効性です。

CMO視点で見る「AI検索時代のマーケティング3つの転換」

転換1: SEOから「AIO(AI Optimization)」へ

検索エンジン最適化(SEO)の発想は、AIに正しく引用される最適化に移行しつつあります。

  • 構造化データ・FAQ・出典明記を、AIが要約しやすい形で提供する
  • 業界用語・固有名詞・数値を、AIが拾える文脈で書く
  • 更新日時・著者・出典を、AIが引用したときに信頼できる形で出す

転換2: 「集客」から「信頼可能な情報源として認識される」へ

AI検索時代は、自社サイトに直接来てもらうよりも、AIに自社の情報を引用してもらうことの価値が高まります。これは数字で測りにくい指標ですが、実際の問い合わせで「ChatGPTで知りました」「Perplexityで読みました」という声が増えているかは、CMOが追うべき定性指標です。

転換3: 広告モデルからサブスク・直接課金モデルへ

Perplexityが広告を捨てたのは、情報の中立性収益の安定性を両立させるためです。中小企業のマーケティングでも、広告依存度を下げ、直接課金・サブスク・コミュニティといった形で自社主導の収益チャネルを作ることの重要性が増しています。

中小企業のCMO・マーケティング担当が今やるべきこと

1. 自社サイト・FAQ・カタログを「主要AIで聞いてみる」 ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityで、自社名・自社サービスを聞いてみる。正確に答えられているか、誤情報が混じっていないかを月次で点検する。これだけで、AI時代のブランド管理が始まります。

2. 出典・更新日・固有名詞を整備する AIが引用しやすい構造化された情報を、コーポレートサイト・ブログ・FAQで整備する。「いつ・誰が・何を」を明確にし、AIが要約したときに正確に出る形で書く。

3. 「答えられるブランド」をKPIとして追う 従来の「検索順位」「PV」「CV」だけでなく、**「主要AIに自社を聞いたときに正しく答えられるか」「どのAIで誤情報が出ているか」を月次レポートに追加する。

まとめ

  • Perplexityは2026/2に広告モデル廃止、サブスク中心に転換、評価額$21.21Bに到達
  • Model Council機能でユーザーが複数LLMの回答を並べて比較できるように
  • Samsung 10億台超のブラウザでMAU 1億超を獲得、AI検索の主戦場は端末側に
  • マーケティングは「SEO」から「AIに正しく引用される最適化」へ
  • 「集客」より「信頼可能な情報源として認識されること」が、AI検索時代の競争軸

Perplexityの動きは、AI検索時代のマーケティングが「広告で目立つ」から「AIに正しく引用される」に変わることを示しています。中小企業のCMOにとって、これは「自社の情報をAIフレンドリーに整える」プロジェクトを、SEO予算と同じ優先度で立ち上げるタイミングです。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。

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