· COO Ryan · オペレーション  · 9 min read

「忙しいのに儲からない」のはコスト構造の問題かもしれない

売上は悪くないのに利益が残らない。その原因は「頑張りが足りない」のではなく、コスト構造にあるかもしれません。見直しの具体的な手順を解説します。

売上は悪くないのに利益が残らない。その原因は「頑張りが足りない」のではなく、コスト構造にあるかもしれません。見直しの具体的な手順を解説します。

「毎日忙しく走り回っているのに、月末に通帳を見ると全然お金が残っていない」。中小企業の経営者と話していると、この悩みは本当に多く耳にします。売上はそこそこある。受注も途切れていない。なのに利益が出ない。社員も頑張っている。自分も休みなく働いている。それでも儲からない。

こういった状態が続くと、「もっと売上を伸ばさなければ」と考えがちです。しかし、売上を増やしても利益が残らないのであれば、問題は売上の大きさではなく、お金の出ていき方、つまりコスト構造にあるかもしれません。

実際、中小企業庁の調査でも、人件費は前年比で12.7%増加しており、多くの企業が「コストの増加」と「利益率の低下」を経営上の主要課題として挙げています。頑張りが足りないのではなく、構造そのものに原因があるケースは少なくありません。

今回は、コスト構造の見直しに取り組むための3つのポイントをお伝えします。

1. 「変動費」と「固定費」を分けて把握する

利益が出ない原因を探るとき、まずやるべきことは「何にいくら使っているか」を仕分けすることです。

経費には大きく分けて2種類あります。売上に連動して増減する「変動費」と、売上に関係なく毎月発生する「固定費」です。材料費や外注費は変動費、家賃や正社員の給与は固定費にあたります。

この仕分けをしてみると、「売上が増えても利益が増えない」原因が見えてきます。たとえば、売上の増加に比例して外注費が同じ割合で増えていれば、いくら忙しくなっても手元に残るお金は変わりません。あるいは、売上が横ばいなのに固定費だけが膨らんでいれば、利益は当然減ります。

難しい分析は必要ありません。直近3か月分の経費を、「売上に連動するもの」と「毎月一定のもの」に分けてリストにするだけで十分です。この一覧を作るだけで、どこにメスを入れるべきかが見えてきます。

2. 「当たり前に払い続けているコスト」を疑う

コスト構造の問題は、ひとつの大きな無駄遣いよりも、小さな「当たり前」の積み重ねで起きていることがほとんどです。

創業時に契約したリース機器をそのまま使い続けている。数年前に導入したソフトウェアの月額料金を見直していない。以前は必要だった倉庫スペースが、今はほとんど使われていない。こうした「一度決めて、そのまま」になっている支出は、どの会社にもあります。

特に注意が必要なのは、人件費に関わる部分です。人件費が12.7%増えているという数字は、賃上げの流れもありますが、業務量と人員配置のバランスが崩れている可能性も示しています。残業が常態化している部署がある一方で、手が空いている時間帯がある。こういった偏りは、外から見ると気づきにくいものです。

まずは、毎月の引き落としや振り込みの一覧を見返してみてください。「これは本当に今も必要か」という目で1件ずつ確認するだけで、月に数万円から十数万円の削減余地が見つかることは珍しくありません。年間にすれば数十万円から百万円以上になります。

3. 売上の「質」を見直す

コスト構造を考えるとき、支出を減らすことだけに目が向きがちですが、もう一つ大切な視点があります。それは、売上の「質」です。

同じ100万円の売上でも、利益率が30%の仕事と5%の仕事では、手元に残るお金がまったく違います。忙しいのに儲からない会社には、利益率の低い仕事を断れずに受け続けているケースがよくあります。「仕事があるだけありがたい」という気持ちはわかります。しかし、利益がほとんど出ない仕事で社員の時間と体力を使い切ってしまうと、本来注力すべき利益率の高い仕事に手が回らなくなります。

取引先ごと、サービスごとに粗利率を出してみてください。すべての取引先が均等に利益をもたらしているわけではないはずです。上位の取引先に集中してサービスの質を高めるのか、利益率の低い案件の価格を見直すのか。この判断ができるだけで、同じ売上でも手元に残るお金は変わってきます。

明日からできること

コスト構造の見直しは、大がかりな経営改革ではありません。明日から始められる3つのステップがあります。

1つ目は、直近3か月の経費を「変動費」と「固定費」に仕分けすること。2つ目は、毎月の自動引き落としを一覧にして、「今も必要か」を1件ずつ確認すること。3つ目は、取引先ごとの粗利率を計算してみること。

どれもExcelやスプレッドシート1枚あればできることです。派手な改革よりも、こうした地味な数字の確認が、利益体質への転換の第一歩になります。

「忙しいのに儲からない」は、経営者の努力不足ではありません。構造を見直せば、同じ忙しさでも手元に残るお金は変えられます。まずは今週中に、1つ目のステップから取り組んでみてください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。

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