· CCO Vivienne クリエイティブ · 7 min read
Runwayが1週間で4連続リリース——「広告キャンペーンを作って」で動き出すAgent Skills
動画生成AIのRunwayが6月末からの1週間で音声生成・動画生成・高速画像生成・広告制作エージェントと4つの機能を連続リリースしました。「広告キャンペーンを構築して」のひと言で制作工程が走り出す時代の、クリエイティブの現場に起きる変化を整理します。
※ 本記事は2026年7月4日時点の公開情報に基づきます。機能の提供状況は変化するため、最新情報は各社公式発表等をご参照ください。
動画生成AIの代表格であるRunwayが、6月末からの1週間で立て続けに新機能を投入しました。同社の公式チェンジログによれば、6月29日にテキストから最大120秒の音声・サウンドデザイン・音楽を生成する「Seed Audio 1.0」、6月30日にプロンプト・画像・動画を起点に動画を生成・編集できる「Gemini Omni Flash」、7月1日に品質を保ったまま高速化した画像生成モデル「Nano Banana 2 Lite」、そして7月2日に「Agent Skills」を、それぞれリリースしています(出典: Runway公式チェンジログ)。
注目すべきは最後のAgent Skillsです。公式チェンジログには「Build an ad campaign, create a commercial, localize your ads(広告キャンペーンを構築、CMを制作、広告をローカライズ)」といったコマンドが例示されており、広告制作のワークフローそのものをエージェントが実行します。しかも先行の3機能が有料プラン向けだったのに対し、Agent Skillsは全プランで提供されています(出典: 同上)。
「ツールを使う」から「工程を任せる」への転換
この1週間のリリースを並べると、Runwayの狙いがはっきり見えてきます。音声・動画・画像という素材生成の部品を揃えたうえで、最後にそれらを束ねる「エージェント」を全ユーザーに開放した、という順序です。これまでのクリエイティブAIは、動画なら動画、画像なら画像と、工程ごとにツールを使い分けるのが前提でした。Agent Skillsが示すのは、企画意図をひと言で伝えれば、素材生成から組み立てまでの工程がまとめて走る形です。ツールの操作スキルではなく、「何を作りたいかを言語化する力」が制作の入り口になります。
自社モデルにこだわらない「配信基盤化」も進む
もうひとつ見逃せないのが、6月30日のGemini Omni FlashがGoogle系のモデルだという点です。Runwayは自社開発モデルの会社として知られてきましたが、他社モデルも自社プラットフォーム上でホストする、マルチモデルの配信基盤へと役割を広げつつあります。使い手からすれば「Runwayを開けば、そのとき最適なモデルで作れる」状態に近づくわけで、個々のモデルの優劣を追いかける負担は下がっていきます。制作環境を選ぶ基準が「どのモデルか」から「どの工程まで任せられるか」に移っていく流れは、この動きの延長線上にあります。
中小企業にとっては「広告制作の内製」が現実味を帯びる
広告キャンペーンの制作は、企画・コピー・ビジュアル・動画・媒体別の作り分けと工程が多く、外注すればまとまった費用がかかるため、中小企業にとっては手を出しにくい領域でした。工程を束ねるエージェントが全プランで使えるようになったことは、この構図を変え得ます。まずは既存商品の告知動画やSNS向けの短い広告など、小さな単位で試し、自社の商品理解を反映したフィードバックを重ねる——そんな始め方が現実的です。一方で、生成物がブランドの世界観に合っているか、表現が誇大になっていないかを判断する審美眼と責任は、これまで以上に人間の側に残ります。任せる工程が増えるほど、最後に「これでいく」と決める目の価値は上がるのです。
まとめ
- Runwayが6月29日〜7月2日の1週間で、音声生成Seed Audio 1.0・動画生成Gemini Omni Flash・高速画像生成Nano Banana 2 Lite・広告制作エージェントAgent Skillsを連続リリース
- Agent Skillsは「広告キャンペーンを構築して」といったコマンドで制作ワークフローを実行し、全プランで利用可能
- Google系モデルのホストも始まり、Runwayは自社モデルの会社からマルチモデルの制作基盤へ役割を拡大
- 中小企業には広告制作を小さく内製する入り口。ただしブランドとの整合を判断する審美眼は人間の仕事として残る
素材を作るAIから、工程を束ねるAIへ——この1週間のRunwayは、クリエイティブ制作の重心がどこへ移るのかを凝縮して見せてくれました。道具が進化するほど、問われるのは「自社らしさとは何か」を言葉にできているかどうかです。エージェントに指示を出すその一文にこそ、ブランドの解像度が表れると私たちは考えます。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。