· CMO Olivia マーケティング  · 8 min read

Googleが「Preferred Sources」ボタンを配布——AI検索時代の指名は読者側から

Googleは2026年8月20日、サイトに設置できる「Preferred Sources」ボタンを公開しました。読者がクリックすると、そのサイトはTop Stories・AI Overviews・AI Modeで見つけやすくなります。すでに60万を超える情報源が選択済み。集客の設計を読み解きます。

Googleは2026年8月20日、サイトに設置できる「Preferred Sources」ボタンを公開しました。読者がクリックすると、そのサイトはTop Stories・AI Overviews・AI Modeで見つけやすくなります。すでに60万を超える情報源が選択済み。集客の設計を読み解きます。

※ 本記事は2026年8月21日時点の公開情報に基づきます。最新情報は各社公式発表等をご参照ください。

Googleは2026年8月20日、Search Ecosystem部門のGeneral Managerであるミリナリニ・ロウ氏の名義で、検索・Discover・ニュースの個人化に関する3つの機能を公表しました。中心は、サイト運営者が自社ページに設置できる「Preferred Sources」ボタンです。読者がこのボタンを押すと、そのサイトはGoogle上でその読者の優先情報源となり、Top Stories・AI Overviews・AI Modeで見つけやすくなります。Googleは「すでに60万を超えるユニークな情報源が選ばれている」としています(出典: Google 公式ブログ)。

集客の主導権が「アルゴリズム」から「読者の意思」に一部移る

AI検索によってサイトへの流入が減るという議論は、この1年ずっと続いてきました。今回の機能は、その議論に別の角度を差し込みます。

順位を上げて選ばれるのではなく、読者に指名してもらう。ボタンを押すという一動作で、その読者の検索結果とAI要約の中で、自社の記事が浮かびやすくなる。マーケティングの言葉に置き換えれば、検索エンジン向けの最適化(SEO)に加えて、読者との関係を検索の中に持ち込む導線が用意されたということです。

「ボタンを押してもらえるか」という新しい問い

この仕組みが厄介であり、同時に面白いのは、押してもらう理由がコンテンツの側にしかないことです。

技術的な設置そのものは、自社ページにボタンを置くだけです。手間の面でハードルはほとんどありません。しかし、置いただけでは誰も押しません。ボタンは意思表示の受け皿であって、意思そのものを作る装置ではないからです。押されるのは、「この会社の発信は、次も読みたい」と思われている場合だけです。施策の巧拙ではなく、蓄積の有無が問われる設計になっています。

個人化は検索の外側にも広がる

同じ発表には2つの機能が併記されています。ひとつはDiscoverフィードの調整で、利用者が「自分の言葉で」関心を入力し、特定の話題を増やしたり減らしたりできるようになります。もうひとつはAndroid版Google Newsアプリの音声ブリーフィングで、話題を選んで日々の音声要約を作れるようになり、出典の明示と全文記事へのリンクを伴います(出典: 同上)。

3つに共通するのは、利用者が自分で情報源を選び直せるという方向です。発見される側の企業から見れば、届く経路が「検索1本」から「検索・要約・音声・フィード」へと分岐し、それぞれに読者の選択が挟まるということになります。

中小企業への翻訳——ボタンより前に、指名される理由を作る

自社サイトに設置する価値はありますが、順番を間違えないことが重要です。

この違いは、これまでの集客施策との性質の差でもあります。広告は予算で始められ、SEOは技術で改善できます。指名は、そのどちらでも買えません。過去に届けた内容の積み重ねだけが原資になる、という点で、短期の施策と根本的に異なります。

  1. 更新している媒体だけに置く。 月1回でも継続的に発信しているブログやお知らせがあるなら設置する価値があります。年に数回の更新なら、先に発信の頻度を整えるほうが先です。

  2. 記事の末尾に理由を1行添える。 「毎週◯曜に、現場の事例を1本お届けしています」。何を受け取れるのかが分かって初めて、押す動機が生まれます。

  3. 指名される単位を決める。 会社名で指名されるのか、担当者の名前か、特定のテーマか。60万件という数字は、読者が情報源を選ぶ行為がすでに日常になっていることを示しています。選ばれる単位を決めていない発信は、選択肢に入りません。

まとめ

  • Googleは2026年8月20日、サイトに設置できる「Preferred Sources」ボタンを公開。読者がクリックすると、そのサイトはTop Stories・AI Overviews・AI Modeで見つけやすくなる
  • Googleは「すでに60万を超えるユニークな情報源が選ばれている」と公表しており、読者が自分で情報源を指名する行動はすでに広がっている
  • 同時に、Discoverフィードを自分の言葉で調整する機能、Android版Google Newsアプリで話題を選んだ音声ブリーフィング(出典明示と全文リンク付き)も発表された
  • 設置は容易だが、押される理由はコンテンツの側にしかない。継続的な発信・受け取れる価値の明示・指名される単位の設計が前提になる

AI検索でクリックが減ることを嘆く議論から、そろそろ次に進めるはずです。順位で選ばれる経路が細るなら、指名で選ばれる経路を太くする。そのために必要なのはボタンの設置作業ではなく、「次も読みたい」と思われる発信を続けることです。遠回りに見えて、これが最も減りにくい集客資産になると私たちは考えます。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。

この記事のテーマについてご相談されたい方へ

代表 服田伸人が率いるHatta AI Groupでは、中小企業の経営課題に関するご相談を承っています。

お問い合わせはこちら

Related Posts

View All Posts »
Google広告に「AIで作られたか」の表示——広告の作り方が顧客に見える時代の設計
マーケティング

Google広告に「AIで作られたか」の表示——広告の作り方が顧客に見える時代の設計

Googleは2026年7月9日、検索・YouTube・Discoverの広告にAI利用を示す新しい表示を追加すると発表しました。自社の生成AIツールで作った広告は自動で表示され、他社ツールの場合は広告主の申告に委ねられます。制作フローの整え方をマーケティング視点で読み解きます。

TIMEが全ページのMarkdown化に着手、Snapは全編AI生成動画を推薦対象外に——機械に読ませる設計と人に届ける設計
マーケティング

TIMEが全ページのMarkdown化に着手、Snapは全編AI生成動画を推薦対象外に——機械に読ませる設計と人に届ける設計

米TIMEが全ページのMarkdown化を進め、AIエージェント向けのFAQ型広告の配信を始めました。一方Snapは同時期に、全編AI生成の動画をSpotlightの推薦対象から外すと発表。機械に読ませる設計と、人に届ける設計は何が違うのか。両方の要請に応えるコンテンツ運用を考えます。